- 「辞めたい」と思うことが甘えとは限らない理由
- 辞めたい気持ちを整理するための5つの問い
- すぐに辞めなくてもできること
- 家族がいる場合に確認しておきたいこと
「会社を辞めたい」と思ったとき。
多くの人は、まず自分を責めます。
まだ頑張れるのではないか。
自分が弱いだけではないか。
家族がいるのに、そんなことを考えてはいけないのではないか。
私も、何度もそう感じてきました。
異動で長時間労働の部署に変わったとき、朝は子どもが起きる前に家を出て、夜は寝たあとに帰る生活が続きました。
平日に子どもと話す時間がほとんどなくなったとき、「この生活をいつまで続けるんだろう」と、ぼんやり考えるようになりました。
でも同時に、「家族がいるのに辞めたいなんて、甘えだ」とも思いました。
今は、少し違う考え方をしています。
辞めたいと思うことは、必ずしも甘えではない。
それは怠け心ではなく、今の働き方に無理が出ていることを知らせるサインかもしれない、と。
この記事は、辞めるべきかどうかの結論を出すものではありません。
まず自分の状態を落ち着いて整理するための、考え方をまとめたものです。
「辞めたい=甘え」ではない理由
「辞めたい」と思うのは自分だけではないか。そう感じるかもしれませんが、実態は少し違います。
マイナビの調査(2026年版)によると、2025年の30代正社員の転職率は9.0%。およそ11人に1人が、実際に1年以内に転職しています。
転職を「希望している」人に広げれば、全国で1,000万人を超えるという総務省のデータもあります。
出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」、総務省「労働力調査 2025年平均結果」
つまり、辞めたいと思うこと自体は、まったく珍しくありません。
そして大事なのは、辞めたくなる理由の多くは「甘え」ではなく、環境や状況の変化にあるということです。
独身の頃は耐えられた働き方が、子どもが生まれたあとには苦しくなることがあります。若い頃はやりがいで乗り切れていたことが、30代になって重荷に変わることもあります。
それは弱くなったのではなく、守りたいものが増えたということだと思います。
また、辞めたいと感じるとき、本当は自分の問題ではなく環境の問題であることも多いです。
慢性的な人手不足、評価されない構造、ハラスメント、異動の拒否。
こうした状況を「自分の努力が足りない」と解釈してしまうのは危険です。
環境の問題を、自分の甘さにすり替えてしまっていないか。
まず、そこを疑ってみてほしいと思います。
辞めたい気持ちを整理する5つの問い
「辞めたい」と思ったとき、すぐに「辞めるか、耐えるか」の二択にしないこと。
まずは以下の問いで、自分の状態を整理してみてください。
問い①:何がつらいのかを分けてみる
仕事がつらいとき、原因は一つではないことが多いです。
| つらさの種類 | 具体例 |
|---|---|
| 仕事内容 | やりがいを感じない、スキルが活かせない |
| 人間関係 | 上司と合わない、職場で孤立している |
| 労働時間 | 残業が多い、休日出勤がある |
| 評価・待遇 | 成果が認められない、給与が見合わない |
| 家庭との両立 | 子どもとの時間が取れない、配偶者に負担が偏る |
「全部が無理」と感じていても、分けてみると本当の原因は1〜2個だったりします。
会社そのものではなく、部署や役割、特定の人間関係だけに問題があるかもしれません。
私の場合は、「仕事内容」自体にはやりがいがありました。
でも、「労働時間」と「家庭との両立」が限界を超えていた。
そう整理できたことで、「会社全体が嫌なわけじゃない」と気づけました。
問い②:いつから苦しくなったのか
ずっと苦しかったのか。最近になって急につらくなったのか。
異動、上司の変更、子どもの誕生、責任の増加。
何かきっかけがあったなら、「自分が弱くなった」のではなく、「条件が変わった」だけかもしれません。
問い③:心と体に異変は出ていないか
- 朝になると気持ちが重く、出社が苦痛
- 休日も仕事のことが頭から離れず、心が休まらない
- 眠れない、または眠りが浅い日が続いている
- 怒りよりも無力感が先に出てくる
- 家族といても、心がどこか仕事に縛られている
- 以前は楽しかったことに興味が持てない
複数当てはまる場合、それは「甘え」ではなく、心身が限界に近づいているサインです。
この場合は「甘えかどうか」を自分で判断しようとせず、後半で紹介する相談先を頼ってください。
問い④:友人が同じ状態なら、何と声をかけるか
もし大切な友人が、「辞めたい。でも甘えかもしれない」と悩んでいたら。
たぶん私たちは、すぐには責めないはずです。
「そんなに苦しいなら、一度立ち止まろう」「無理しすぎていない?」と声をかけるのではないでしょうか。
他人には向けられる優しさを、自分には向けられないことがあります。
でも本当は、自分にも同じ優しさが必要だと思います。
問い⑤:この働き方を5年続けた自分を想像できるか
今の生活が5年続いたとき、自分はどうなっているか。
家族との関係は。体の調子は。心の余裕は。
想像してみて「このままでは持たない」と感じるなら、それは甘えではなく、合理的な判断の入り口です。
私自身、子どもが起きる前に出て、寝たあとに帰る生活が続いたとき、この問いを強く意識するようになりました。
子どもの成長を見守れる時間は、今しかない。その「今」を全部仕事に渡してしまっていいのか。
そう思ったとき、「甘えかどうか」ではなく「何を守りたいか」という問いに変わりました。
すぐに辞める前にできること
辞めたいと思っても、いきなり退職する必要はありません。
「辞めるか、耐えるか」の間には、いくつかの選択肢があります。
社内で環境を変えられないか確認する
部署異動の希望を出す。フレックスや時短勤務の制度がないか確認する。業務量の偏りを上司に伝える。
意外と、制度はあるのに使われていないケースも多いです。「会社を辞める」前に、「今の部署を離れる」という選択肢がないかを調べてみてください。
転職活動を「情報収集」として始める
転職サイトに登録すること=退職ではありません。
自分のスキルが他の会社でどう評価されるのか、今の給与は相場と比べてどうなのか。それを知るだけでも、「ここしかない」という思い込みが外れることがあります。
「辞められる状態」を先に作る
すぐに辞めるのではなく、「辞めようと思えば辞められる」という状態を先に作る方法です。
生活防衛資金を貯める。スキルを磨く。家族と方針を共有する。
こうした準備を進めておくと、今の仕事を続けていても心の余裕が変わります。
本当に欲しいのは、すぐ辞めることよりも、「辞められる」と思える安心感なのかもしれません。

家族がいる人の「辞めても大丈夫か」チェックリスト
家族がいると、気持ちだけでは動けません。
もし本当に辞めることを考えるなら、以下の点をざっくりでも確認しておくと、判断がしやすくなります。
✅ 辞める前に確認しておきたいこと
- お金:生活費の6ヶ月分くらい、現金で持っているか
- 家族:配偶者と、今の苦しさや今後のことを話せているか
- 次の仕事:転職先の目処、または収入の見込みがあるか
- 保育園:退職しても子どもの保育が続けられるか確認したか
- 住宅ローン:返済に影響が出ないか把握できているか
- 心身の状態:「準備してから」ではなく「今すぐ休むべき」レベルではないか
すべてにチェックが入る必要はありません。
ただ、チェックが入らない項目を把握しておくことで、「今すぐ辞めるべきか」「まず何を準備すべきか」が見えてきます。
💡 最後のチェックだけは別です。
心身が限界に近い場合は、お金や制度の準備が整っていなくても、まず休むことを優先してください。
壊れた心や体を元に戻すには、長い時間がかかります。お金や制度は、あとからでも整えられます。
心と体が限界なら、まず相談してほしい
自分だけで抱え込まないでください。
一人で「甘えかどうか」をぐるぐる考えていても、答えは出にくいです。
まず頼ってほしいのは、次の3つです。
① かかりつけ医、または心療内科
心身に異変が出ているなら、まず受診してください。「こんなことで行っていいのか」と思うかもしれませんが、それを判断するのが医師の仕事です。保険適用で受けられます。
② 会社の産業医・相談窓口
職場の環境について相談できます。休職の判断をしてもらえることもあります。
人事を通さず直接相談できる仕組みがある会社も多いです。
③ よりそいホットライン(0120-279-338)
仕事・生活・心の悩み全般に対応している無料の電話相談です。
24時間対応で、匿名でかけられます。
「甘えかどうか」を自分で判断しようとするより、誰かに話すことで気持ちが整理されることがあります。
まとめ|甘えかどうかより、「何を守りたいか」を考える
会社を辞めたいと思うことは、必ずしも甘えではありません。
もちろん、つらいからすぐ辞めればいい、という話ではありません。
生活があります。家族もいます。考えるべきことは多いです。
ただ、我慢を続けることが、いつも正しいとも限りません。
無理を重ねれば、心や体を大きく崩してしまうことがあります。
家族のために頑張っているつもりが、家族と笑う余裕まで失ってしまうこともあります。
収入があっても、毎日がすり減っていく。
家に帰っても心が動かない。
大切な人との時間を味わえない。
大切なのは、「甘えかどうか」を決めつけることではなく、
自分は何がつらいのか、何を守りたいのかを見つめることだと思います。
仕事は人生の大切な一部です。でも、人生のすべてではありません。
家族との時間。
安心して眠れる夜。
少し先の未来を前向きに考えられる心の余白。
そうしたものを守ることもまた、甘えではなく、大切な選択です。
続けるという選択もあるでしょう。
離れるという選択もあるでしょう。
どちらを選ぶにしても、自分を責め抜いた末の判断ではなく、
自分の人生を大切にするための判断であってほしい。
私はそう思っています。

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